開発背景と関連研究

ProsoTuneを作った理由。

私自身も、英語を学んでいる途中です。研究や発音コーチングで学んだことを、自分で練習しやすくしたい。そんな思いで、ProsoTuneを作っています。

私自身も、英語を学び続けている一人です

私は英語の先生や発音指導者ではありません。自分自身も、まだ英語を学んでいる途中です。聞き取れること、話せることを、これからもっと増やしていきたいと思っています。

ProsoTuneは、そんな私が、自分の練習のために作り始めた道具です。第二言語習得研究で扱われるプロソディや視覚的フィードバック、発音コーチングで行うお手本のまねや録音の振り返りを、日々の練習で実践しやすくすることを目指しています。

聞こえない違いを、見える形で確かめたかった

試験で使われる英語は、ある程度聞き取れる。それなのに、実際の英会話や映画、ドラマになると難しい。キッズ向けのアニメでも、音をつかめない。そんな経験が、ProsoTuneを作る出発点でした。

聞き取りを変えたいと思い、まずは一つひとつの音の発音から練習しました。発音アプリを使い、コーチングも受け、口や舌をどう動かすかを学びました。少しずつ聞き取りやすくなった一方で、お手本と自分の声の違いを、自分の耳では十分につかめないことがありました。

プロソディの練習から、道具づくりへ

その後、リズムや強弱、抑揚といった「プロソディ」に重点を置いた発音添削を受けるなかで、声の出し方を少しずつつかめるようになりました。音声分析ツールのWASP2も使い、声の形を見ながら練習しました。この経験と、声を可視化して確かめる考え方が、ProsoTuneを作る際の土台の一つになりました。私自身は、分析結果を日々の練習で直感的に使う難しさも感じていました。

そこで、自分が練習しやすい道具を作り始めました。目指したのは、お手本の話し方をよく調べ、自分の録音と比べながら、まねできるようにすることです。

開発の途中では、AIによる採点も試しました。その経験を通じて、私が練習で確かめたいのは「このお手本と、自分の話し方のどこが違うのか」だと、あらためて考えるようになりました。お手本と自分の録音を上下に並べる方法などを試し、現在の墨絵表示にたどり着きました。

聴く・録る・比べるを、もう一度

声の高さを線の上下に、声の大きさを線の太さに表す。お手本と自分の声の形を重ねて見て、音でも聴き比べる。私には、この形が違いを確かめる手がかりになりました。お手本に近づけるために声を出し、録り直すことも、楽しく感じられるようになりました。

録音を面倒に感じていた私にとって、聴く・録る・比べるを行き来できることも大切でした。「もう一度やってみよう」と思ったときに、すぐ練習を続けられる道具にしたかったのです。

こうした練習を続けるなかで、以前は難しかったキッズ向けのアニメも聞き取りやすくなり、自分の話し方、特にリズムや抑揚にも変化を感じています。これは、コーチングを含むこれまでの学習全体を通した、私自身の実感です。今も聞き取れないことや、思うように話せないことはあります。私もこの道具を使いながら、引き続き英語の力を伸ばしていきたいと思っています。

ProsoTuneは、お手本と自分の声を、目と耳で確かめながら練習するための道具です。発音の採点や自動修正、個々の母音・子音の正誤判定は行いません。自分の声を録り、お手本と比べ、もう一度まねしてみる。その繰り返しをしやすくすることを目指しています。

この練習に関連する研究

研究やコーチングの考え方を、日々の練習へ

ProsoTuneは、第二言語習得研究の知見と、発音指導・コーチングで使われる練習の考え方を参考に、学習者が自分で反復練習するためのツールです。レッスンで教わったことを練習したり、お手本と自分の声の違いを確かめたりするときに使えます。

練習の土台となる考え方ProsoTuneでできること
個々の音に加え、リズム・強弱・抑揚など、話し方全体にも注意を向ける[研究1]お手本と自分の録音を聴き比べ、次に意識するところを探す。
声の高さの動きを見ながら、音でも確かめる[研究2]声の高さを墨絵の上下に表し、お手本と自分の声の形を重ねて比べる。
お手本を聴く、まねる、録音する、比べるという練習を繰り返す[学習案内3]お手本の再生・録音・比較を行き来し、同じ一文を録り直して確かめる。

ここまでの開発背景は私自身の経験です。以下では、この練習の考え方に関連する研究成果と、教育機関による学習案内を分けて紹介します。開発者が英語を教える立場になるのではなく、研究や指導から学んだことを練習に移せる道具を提供したいと考えています。

話し方全体を扱う発音指導

英語学習者を対象にした12週間の研究では、一つひとつの音を中心に練習する群と、プロソディを含む話し方全体を扱う群の両方で、文単位の発話の聞きやすさの評価が改善しました。即興で話す課題では、後者に聞きやすさと流暢さの改善が報告されています。ここでの「聞きやすさ」は、学習者の発話を聞いた人による評価です。研究1

声の高さを見ながら練習する

フランス語学習者が、声の高さの線をお手本と重ねて練習した研究では、発話のプロソディの評価が改善しました。研究2

お手本をまねて録音し、比べる

British Councilの発音練習の案内では、お手本を聴き、まねて録音し、元の音声と比べる方法を紹介しています。聴き比べる点として、単語や文の強勢、リズム、イントネーション、音のつながりを挙げています。学習案内3

研究1・2は、それぞれ別の学習者・教材・道具を対象とした研究です。学習案内3は、教育機関による練習方法の紹介であり、実験研究ではありません。いずれもProsoTuneの墨絵表示や学習効果を直接検証したものではありません。研究や指導で扱われる考え方を練習に取り入れることと、この製品の効果が実証されていることは、区別して紹介しています。

参考文献

  1. Derwing, T. M., Munro, M. J., & Wiebe, G. (1998). Evidence in Favor of a Broad Framework for Pronunciation Instruction. Language Learning, 48(3), 393–410. 出版社の要旨を読む
  2. Hardison, D. M. (2004). Generalization of Computer Assisted Prosody Training: Quantitative and Qualitative Findings. Language Learning & Technology, 8(1), 34–52. 論文を読む
  3. British Council. Record yourself. 発音練習の案内を読む